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2008/02/06

詩:偏屈な少女の肖像

アップしなさすぎなので、昔書いた雰囲気系をひとつ。

創作日時:2006年10月1日
題名:偏屈な少女の肖像

彼女の肌は
太陽の届かぬ国で
起きながら眠っている氷の河のように
白く、どこまでも透明で、瑞々しく、爽やか。

彼女の髪は
しなやかな絹糸を
一本一本漆塗りにしたかのように
黒く、柔らかく、たおやかで、
人知れぬ砂漠の、夜にのみ咲く、紫の花の香りがした。


彼女はその晩、
優しげな笑顔を貼り付けながら煩わしく語り続ける
一匹の好色な獣(けだもの)、
数多くの中の、一人の大人の戯言を聞き流し
妖精の燐粉を溶かし込んだ、ぬるい珈琲をすすりながら、
サイケデリックな壁の模様の、色鮮やかな線の数を
ただ、黙って数えていた。


幸せなはずだった。
これといった喜びも、哀しみもなく
飢えも、戦いもない。

多くの者が愛を見せびらかしたが、
その世界のどこを探しても、彼女自身がいなかった。


それなりに幸せだった。
ただ、なくしたパズルの最後の欠片が見つからず
一枚の絵画は、ついに姿を現さず…


遠い空から聞こえる夕焼け色のピアノの音色と
穏やかな月の光が青白く輝き、場違いなほどに綺麗な晩に
彼女は
それなりの世界から
誰に気付かれることもなく
誰の記憶にも残らず

静かに
姿を消した。

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