詩:遊色効果
題名:遊色効果
創作者:雪月 紅葉
創作日時:2007/11/28
月長石
天青石
抑え込まれ
押し込まれて
その重みにこそ
磨かれてゆく
地表に顔を出した
藍鉄鉱は
もうすでに 濁りはじめている
こころみに
見つけたものすべて
拾い集めてゆく
そのうちに
この両の手はふさがって
美しい欠片だけ
わずかに剥がしとり
あとはひとつずつ
捨ててしまうのだろう
わたしの一部は
別れを惜しんで
打ち捨てる欠片に
燐粉のように張り付いて
黒い深い大地の上で
未熟な煌めきをもって
高潔さを主張していたかもしれない
集めた塊も
魂も
少しずつ
不純物をふやしながら
なおも透明に
小さくなってゆく
どれくらい
そうしたことを続けただろう
宝石の道が途切れるその場所で
メキシコオパールが
遊色の光を放っていた
誰かの目に青に映り
誰かの目に赤に映り
誰かの目に黄色に映っただろう
かつてわたしだったものは
知るよしも
知る必要もなく
ただずっと
そこに 在り続けた
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